僕の時間

読んだ本、観た映画、聴いた話。経験した時間を言葉にする練習を繰り返す日々。

文章読本

文章がうまくなりたい。

面白く、味があり、深みと凄みもありながら、スッと沁みいる文章を書きたい。

そのようなことを強く意識し始めたのは、ごくごく最近のような気がします。

 

普段はあまり、所謂、"How to 本"は読まないのですが、文章の書き方、なにが良い文章なのか、等を掴めるような"How to 本"があればなと感じているときに、「MONKEY vol.7」の中で村上春樹が「丸谷才一」という人物を挙げていたところから検索しているうちにたどり着いて手に取ったのが、今回の1冊になります。

 

文章読本

丸谷才一
1977年9月20日第1刷発行
1980年9月10日「中公文庫」第1刷発行
1995年11月18日「中公文庫」改版第1刷発行
発行所:中央公論新社

https://instagram.com/p/98ojoaE7Gv/

15 #bokunojikan

 

 「文章読本」というのは、他にもあるわけですが、これが僕にとっては最初の1冊目でした。端的で、とても丁寧で、実際的、論理的でした。というのも、第2章ですぐに、

文章上達の秘訣はただ一つしかない。(中略)秘訣とは何のことはない名文を読むことだ <P23/L1>

 とあるのです。そうしてその後、では名文とはどのようなものかと、名文を引用しながら、要素を説明一つ一つ体系立てて具体的に説明していってくださるのですから、これ以上の「文章読本」はないように思えるのです。

 それはつまり、丸谷才一の文それ自体が、重厚で説得力をもちかつ、読ませる名文であることに違いないのです。

 そんな名文を読んでいて、なんとなく出版されたのはもっと前かなと思いましたし、丸谷才一さんが亡くなったのは2012年10月13日であり、つい最近であったことを知って少し驚きました。決して復古主義的なことを言いたいのではなく、「文化」の縦の長さが、僕が今まで思っていたよりも短いような印象を受けたということです。「文章読本」を通じて、「文語体」を教わるはずが、丸谷才一さんから、僕が「文語体」だと勘違いしていた今当たり前のように文章で使われている、「口語体」についても深く教わることで、同時にその歴史の短さを思い知らされたということです。

 

 その結果、迷ったときは、この本を読みに戻ってくれば良いのだとさえ感じさせられた1冊となりました。とは言え、今回、この記事から文章がうまくなっているはずはないということは理由を述べるまでもないでしょう。

 

 

文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)