俳優のノート
この1冊は、ある出版会社の説明会でお会いした編集者の方に教えていただきました。
他人の前で「演じる」。それはごくごく普通の人でもやることだと思うのです。
では「演じる」ことのプロフェッショナルは、どんな日々を過ごし、どんな時に「演じる」のでしょうか。
そして、俳優という人々は、なぜこんなにも魅力的なのでしょうか。
俳優のノート
山崎努
2000年3月「メディアファクトリー」第1刷発行
2003年8月「文春文庫」第1刷発行
2013年10月10日「文春文庫」新装版第1刷発行
発行所:文藝春秋
山崎努をはじめて観たのは、ドラマ「クロサギ」だったような気がします。今でも覚えているのですから、その時になにか強烈な存在感を感じていたのでしょうか。本書は、俳優山崎努がシェイクスピアの戯曲「リア王」を演じるにあたって書き記した日記になります。四大悲劇中最も壮大な構成と言われる「リア王」を、山崎努は準備に2年、稽古に34日かけて望むのです。
ああ、「演じる」とはここまで出来るのか・・・
「演じる」とは「偽る」ではないのだ。だから人々が生活のなかで「演じる」ことと、俳優が「演じる」ことでは全く異なることなのだ。
僕はそんなことを思い知らされました。そして、人は己の信念のためであれば、ここまで徹底的に没頭することが出来るのかということを見せつけられました。同時に、孤独な対話が人と人を結び、その対話は舞台上でまた再び人と人を結ぶ演劇の魅力にも気付かされました。
また、本書では、稽古の途中で伊丹十三の死が山崎努に伝えられる場面があります。伊丹十三と山崎努という二人の俳優。どんな会話がなされていたのだろうか。俳優を志したことは今まで一度もなかったですし、学校の演劇ですら役の立候補をしたことないのですが、生まれ変わったら志してみたいなぁ。