本の逆襲
「出版業界はこの先長くない。」
「紙媒体はなくなる。」
などといったことが頻繁に言われ続けていると思います。
果たして本当にそうなのでしょうか。
「本」は今どうなっているのか。
そしてどういう道を歩もうとしているのか。
そういった、これからの「メディア」のあり方に僕は非常に興味があります。ちょっと前になるのですが「B&B」という変わったことを仕掛けている「本屋さん」にいきそこで「イベント」を経験しました。そこは、とても小さな「本屋さん」なのですが、様々な工夫がなされていました。
本当に街の「本屋さん」は無くなってしまうのでしょうか。
そういった「本の世界」の最前線で様々な試みを実践している内沼さんの書いた1冊を今回紹介したいと思います。
本の逆襲
内沼晋太郎
2013年12月11日第1刷発行
発行:朝日出版社
「B&B」とは「Book & Beer」を略した店名の下北沢にある本屋さんです。
本で語られている部分を引用すれば、
「B&B」は、<本屋×イベント×ビール×家具>です。<P156/L2「『本屋はメディア』を本気でやる」>
というコンセプトをもとに独自に新しい「本屋」の形を創り上げていっている注目すべき「メディア」であります。
現在は、メジロフィルムズという小さな映画配給レーベルまでたちあげています。
そんな、行動をどんどん起こしていく内沼さんが、出版業界が不況に苦しんでいる中あえて「本の未来は、明るい。」と明言して書いた1冊の中には、「本」の生き残る方法がとても具体的に書かれています。
しかも、本の流通の現状から、「本」の拡張性、デジタルの展望まで非常にわかりやすく簡潔に書かれていて、出版業界に明るくなかった僕でも一読するだけで理解することができました。
なにより、著者の内沼さん自身が若いこともあって、若者側の視点で語っているためにとても共感できるところが多かったです。
大手出版社が統合したり、駅前の大きな本屋が閉店したり、新しいインデペンデンスの出版社が相次いで登場したり、Amazonと直接提携を結ぶ出版社が増えたりと、とにかく出版業界を取り巻く環境は今まさに大きな転換期を迎えているのでしょう。
前日紹介した松家さんも、インデペンデンスの出版社を立ち上げ、雑誌「つるとはな」を創刊していますので、ご紹介しておきます。
そんな、「本」というメディアを取り巻く環境の変化には今後も注目していきたいと感じています。そして、そんな状況を、この1冊はとても丁寧に教えてくれました。
確かに出版業界の未来は暗闇が広がっているのですが、同時にそれはとても面白い状況にあるとも言えるのではないでしょうか。